天才と呼ばれる魔王との日常

晴天の青学の屋上で、美少女に押し倒されている美少年がいた。

二人の状態を考えなければ対とも言える美しさと言えるかもしれなかった。

だが、状況以上に二人の表情は穏やかではなかった。

「僕を押し倒すなんて……何か企んでいるの?」

「いや~、『不二君ファンクラブ』の会長を名乗る子が集団で私と君との間を勘違いしているのだよ。だったら君を押し倒しておこうかと」

相変わらず予測のつかない答えを聞かされた美少年……不二は溜め息を吐いた。

「……静華。据え膳食わぬは男の恥で、女の恥ではないと思うんだけど」

「いや、売られた喧嘩は買うのが女の生き様よ!」

不二を押し倒したまま、握り拳をつくる美少女……静華はそう叫んだ。

やはり、天才といわれる不二にも理解が出来ない静華の言動に驚きつつも、冷静といえる突っ込みを返した。

「……相変わらず訳がわかんない主義主張を持っているよね」

「……不二、そんなに変か?」

「自覚がない時点で、既にアウトだよ」

「そうか……考えておく」

理解不能な言動をする割に素直な態度に対して不二は小さく微笑んだ。

そして、不二は自分の上に乗っている静華を屋上の地面に下ろした。

「とりあえず、静華にあらぬ疑いをかけた面々の名前、教えてくれる?」

「もちろんだとも。売られた喧嘩は買うものだし、不二が協力してくれるなら心強い」

すぐに臨戦態勢になった静華とは対照的な冷たい笑みを不二は浮かべた。

「最近は静華に喧嘩を売るなんて物知らずがいなかったから、退屈だったんだよね」

「そうか? プリンスはなかなかの好敵手だろう」

「それを言うなら、手塚と引き分けになる静華とも対戦したいよ?」

と、珍しく挑発的な不二の笑みに対して、静華はあっさりと断った。

「ははは。不二との対戦なんて狸の化かしあいにしかならないし、それなら共に手塚を困らせた方が楽しい」

そう答えられる事がわかっていた不二はいつもの様に微笑んだ。

「そんな事を大石の前で口にしたら説教されるよ」

「それは……かなり怖いな。秀一郎は本気で怒ると怖いからな」

何を思い返したのか、本気で身震いをしている静華に対して、不二はにっこりと親愛を込めて微笑んだ。

「じゃあ、大石の邪魔が入る前に売られた喧嘩を買っておくか」

「そうだな。では作戦会議としよう」

 

 

 

 

 

不二を押し倒すというシチュエーションが書きたくて書いたのですが……「押し倒す」という言葉には合わない色気もない展開です。

ですが、一番の問題はそれが良いと思う書き手の好みと萌えでしょうか(遠い目)

ただ、この様な萌えでも需要と供給があると信じ、同好の方からの反応を募集します!