Again

三蔵が静華を世話係以上に重用する事が日常となった頃。

三蔵は自身を呼ぶ声がある事を静華に告げると、静華は満面の笑みで出迎えに行けと三蔵を寺院から放り出した。

そして、三蔵が悟空を寺院まで連れてきた事を知った静華は満面の笑みで出迎えた。

その様な静華の大歓迎に対し、悟空は昔から変わらぬストレートな笑みで喜んだ。

「オレ、静華姉ちゃんみたいな綺麗な女の人、初めてだ……」

「……ありがとう、お世辞でも嬉しいわ」

そう静華が悟空に答えた為、軽く嫉妬していた三蔵はそれを忘れるくらい驚いた。

否。出会った時から作為もなく普通の反応を返さない静華の言動に慣れていた為に。

だが、静華が悟空を歓迎している事は疑いようもなく、三蔵に対する言動は変わらない。

故に、三蔵はその疑念を出会った時の様に抱くだけで言葉にはしなかった。

また、その様な三蔵の戸惑いに気付かなかった静華はただ重要な注意を悟空に告げた。

「でも、私の性別はトップシークレットだから、他人がいる時は女扱いしないでね」

「なんで?」

「みんなの為になるから、かしら?」

「静華姉ちゃんの為じゃなくて?」

という悟空の問い返しは率直だが、深い理解と正しい指摘に基づく問い返しだった。

それ故に、静華は忘れていた保護者めいた「姉」らしい言動で悟空を褒めた。

「うふふふ、悟空は本当に賢い子ね。おねえさん感動しちゃう」

「……いい加減にしておけ、静華」

そういう三蔵の言動が単純な嫉妬ではない何かを感じはじめていると静華も感じた。

だが、まだ全てを三蔵に話していない静華はあえて誤魔化す様に茶化した。

「あら、さんぞうってば、悟空が告白をしたせいで嫉妬しているの?」

「へ? なんで嫉妬??」

「男の事情は深く出来ているのよ、悟空」

「訳わからんコトを言っているのはお前だ、静華!」

とツッコミをした三蔵は、どこから出したかわからぬハリセンで静華の頭を叩いた。

その様な三蔵に言動に静華は慣れていたが、痛みへの抗議という意味から叫び返した。

「いった~い! 普通、女の頭をハリセンで叩く?!」

「女ならもっと慎んだ言動をしていろ!」

「大和撫子なんて今どきはやらなくてよ!」

「お前はそれ以前だ!」

「すげー、静華姉ちゃんといると、三蔵も可愛……」

そう悟空が三蔵と静華の会話、否、夫婦漫才といえる言動が単純に面白いと思った。

そして、決して愛想が良いと言えない三蔵と愛想が良すぎる静華がお似合いだと思った。

そういった意味で、悟空は告げようとしたが、それを認めたくない三蔵はすぐに否定した。

「悟空、死にたくなかったら、それ以上は言葉にもするな」

「あら、悟空に図星を突かれたからって、怒っちゃダメよ」

「てめぇも死にたいのか、静華?」

「もう、どうせつくなら、ハリセンや嘘よりもベッドでつ……」

そう静華が年齢制限も発生しそうな下ネタでツッコミをしようとした為、三蔵の怒りは頂点に達した。

そして、その様な三蔵の無言の怒りを察した静華は心からの謝罪を言葉にした。

「すみません、もう口にしません」

「……三蔵と静華姉ちゃんって、どっちが主導権を握っているんだ?」

という悟空の当然な問いに対し、三蔵は静華に答えさせるような視線を向けた。

その様な三蔵の無言の命も察した静華はニッコリという文字が見える笑みで答えた。

「それはベッドなら……」

「……」

「……コホン、基本的に三蔵よ。私は女だもの、三歩下がっているのが常ね」

そう静華が、再び三蔵の無言の怒りを察して控えめな軽口を言葉にした。

だが、怒りが頂点に達している三蔵はその様な静華の言動を見過ごさなかった。

「ほう、じゃあ明日から実践してくれるのか、静華?」

「……すみません、嘘をつきました」

「なんか、静華姉ちゃんと三蔵の会話ってコントみたいだな」

「……こんな女とは会話しているだけで、ボランティアみたいなものだ」

と三蔵が不機嫌な思いのままに静華の事を言い捨てようとした為、静華は悲劇のヒロインを気取った様子で三蔵との『夜』も悟空に暴露しようとした。

「酷い、あの時『愛してる静華』って、かすれた声で囁いてくれたのは嘘だったの!」

「なっ!」

「何でかすれた声で囁くんだ? 風邪でもひいていたのか??」

「違うのよ、悟空。声がかすれた理由はね……」

そう静華が悟空に下ネタよりも三蔵には耐えがたい話題を言葉にした為、再び三蔵は静華の頭をハリセンで叩いた。

「馬鹿子猿を相手に何を言う気だ、静華!」

「ひっどーい! またハリセンを使ったわね、さんぞう!!」

「馬鹿な事を言うからだ!」

という三蔵は先程までの怒りを忘れたかのように静華へツッコミをいれ、また、静華も三蔵の激しいツッコミに応じていた。

その様な三蔵と静華の会話を見せられた悟空はただ二人の仲の良さが嬉しいと思った。

なぜ、そのように思うかも、そう思う理由もわからずに、ただ悟空は率直に喜んだ。

「やっぱり仲が良いな、三蔵と静華姉ちゃんは」

「こんな女と一緒にするな、馬鹿子猿!」

「うふふ、ありがとう、悟空」

「……えへへへ。褒められるって嬉しいな」

そう答える悟空の頭を静華が撫でている為、三蔵は再び妬心を抱いた。

だが、これ以上の夫婦漫才もしたくない三蔵は悟空と静華の距離を取ろうとした。

「来い。この寺院の責任者に挨拶だ」

「挨拶?」

「ほら、行ってらっしゃい、悟空。これからお世話になる方には、お礼も言っておいた方が良いでしょう?」

という静華の後押しで、悟空は先に行く三蔵の後を追おうとしたが、すぐに振り返った。

「……じゃあ静華姉ちゃんは帰ってくるまではここに居てくれるか?」

「ええ。今日はここでずっと待ってるわ」

「じゃあ、行ってくる」

「はい、行ってらっしゃい」

そう悟空に満面の笑みで答える静華に対し、三蔵は妬心を隠す事なく命を下した。

「……静華、今夜も覚悟をしておけ」

「うふふ、さんぞうの体力次第だけどね?」

「黙れ、下僕」

「三蔵?」

と問い返した悟空は、意味が分からない三蔵と静華の意図を確かめようとした。

だが、三蔵は歩く事は止めたが答えようとはせず、それ故に静華が微笑みながら答えた。

「大丈夫よ、悟空。さんぞうは照れているだけだから」

そういう静華の珍しい的確な答えを聞いた三蔵はやはり苛立ちと妬心を隠せなかった。

そして、その様な三蔵の想いに気付いても、あえて意図的に静華は言動を変えなかった。

故に、三蔵は珍しい綺麗な微笑みを見せる静華ではなく、悟空に命を下した。

「来い、悟空!」

「わ、わかったよ、三蔵」

「行ってらっしゃい」

という静華の見送りを見た悟空はすぐに先に行く三蔵の後を追った。

そして、二人の姿が見えなくなるまで見送った静華は、すぐに訪れるサイカイが怖いと思った。

否。

それこそ静華が望んでいた事だと、願っていた事だと思っていた。

だが、今はこのサイカイがもたらすだろう「再開」の訪れが怖いと思った。

 

 

 

 

 

今回のタイトルの意訳は「再び、もう一度、応じて、答えて」です。

そして、今回は当サイトのオリキャラの静華と悟空の再会です。

はい。悟空だけは「再会」が正しいです。

悟空にその記憶は無いですし、静華もそれを知っていますが。

 

また、このシリーズのタイトルが「サイカイ」というカタカナである事の意味も少し書きました。

まあ、わかりやすいカタカナ表記なので、意味や意図はわかりやすいと思いますが。

 

そして、次回は悟浄と静華の出会いですが……全年齢仕様とする為、短くなる予定です。