○○しないと出られない部屋(グレアリ)

いきなり出口のない密室に閉じ込められたグレイとアリスは、壁に貼られている紙に書かれている「○○しないと出られない部屋です」という言葉に困惑していた。

「ナイトメア様の悪戯なら、すぐに出られると思うが……」

「この部屋にはどうやって入ったのかしら?」

「ナイトメア様の執務室から一緒に出たらこの部屋だったな」

と答えたグレイはある事に気付き、ポツリと呟いた。

「……おいしな。今は君と二人っきりの密室だろう?」

そうグレイから甘く囁かれたアリスは頬を染める事なく、ただ再び呆れる思いを隠さずに大きなため息を吐いた。

だが、グレイはアリスを抱き寄せると耳元で更に囁いた。

「愛しい女性と密室にいて何もしないのは君に失礼だろう?」

というグレイの言動は艶やかで抗い難い誘いであったが、アリスは冷静かつ沈着な態度と冷ややかな視線でただ反論した。

「そんな爛れた思考はブラッドだけで十分だわ」

「あの帽子屋とは友人関係だったのではないのか?」

「ブラッドにも選ぶ権利はあるし、私よりも素敵な女性はたくさんいるでしょう?」

そういうアリスの言動は相変わらずだったが、恋人であるグレイには聞き流せない、否、改める必要がある重大認識だと思った。

しかし、アリスのそういった意識を変えるのが難しいとも知っているが故に、グレイは真剣な表情で考え込み、アリスはそんなグレイの悩みに全く気付けなかった。

「グレイ?」

「いや、君の無自覚さはどう矯正すべきかが悩みどころだ……」

そうグレイ呟いた時、アリスは出入り口が出来た事に気付いた。

「あら、出入り口が出来たわ。やっぱり、ナイトメアの悪戯だったのかしら?」

「……嫉妬か」

とグレイはこの部屋を用意したのがナイトメアであり、出口が出来る条件が嫉妬であると察した事をアリスに告げるべきかを悩んだ。

そう。

ただナイトメアが仕事地獄から逃れる為と、子供の様な仕返しとして用意したと察した事を。

だが、そのような説明よりも、次の時間帯は二人そろって休みだと思い出したグレイは艶やかな表情でアリスに甘く囁いた。

「次の時間帯からは俺達は休憩だから、俺の部屋に来ないか?」

「ええ。私もグレイと一緒に過ごしたいわ」

そうグレイに答えたアリスは表情も可愛らしく、すぐに襲いたいほどに愛しいと思った。

故に、グレイはアリスへの想いとナイトメアへの仕返しとしてキスを仕掛けた。

すると、アリスは驚きと恥じらいからグレイを責めるが、グレイはアリスの可愛らしさを堪能するように再びキスをした。

その結果、日常的にアリスの思考を読んでいたナイトメアは、執務室で大量出血をしながらも真っ赤な表情となった。

その様なナイトメアを謎の密室から戻ったアリスは呆れながらも介抱したが、グレイが邪念をあえて隠さなかった為にナイトメアの体調は悪化した。

「わ、私が悪かったから、今すぐ爛れた妄想は止めてくれ!」

「妄想ではないですよ、ナイトメア様。過去と実現可能な未来です。それに、俺達が休む次の時間帯でもさぼらずに仕事してください。いえ、そうしないともっと大変になりますよ?」

そうグレイからアリスの思考を常に読む事を止められたナイトメアは、沈痛な面持ちで仕事を再開した。

その様なナイトメアの態度に不信を抱きながらも、アリスは休みとなる次の時間帯を楽しみとするような満面の笑みを見せた。

その様なアリスの笑顔を見たナイトメアは、ただアリスをこの世界に繋ぎ止められる状況を喜んだ。

また、その様なナイトメアの思考をグレイは読めないが、満面の笑みで次の休みを楽しみしているアリスをグレイは満たされた穏やかな視線と笑みで見守った。

 

 

 

 

 

今回の○○は嫉妬です。

とある公式のユリアリがメインのコミックスで関わるナイトメアのように乙女チックで凝った罠もアリだと思いますが、こういう子供じみている仕掛けもナイトメアらしいかな、と。

そして、アリスに対して大人でありたいと思っているグレイにはこういう仕掛けの方が効果抜群かとも思いまして。

ただ、グレイの仕返し、否、ナイトメア命名の「爛れた妄想」は全年齢小説でも大丈夫か?とは思いますが、グレアリならアリだと思っています!

また、2019年11月30日まではこの小話を含む小説の通販を受け付けています。