プリンスとの出会い

授業が終わり、リョーマが教室から部室に行こうとした時、背後からいきなり声を掛けられた。

「君が噂の越前君か」

「……あんた、誰?」

相変わらずな態度で、リョーマは声を掛けてきた少女にぞんざいに答えた。

なぜなら、いつものように無視をする事がこの少女には出来なかったから。

いや、無視をする事が出来ない雰囲気をこの少女は有していた。

いぶかしむリョーマに対して、少女はのんびりとした口調で答えた。

「とりあえず、謎の美少女と名乗っておこう」

「見た目は美少女でも、口調は違うんじゃない?」

「ははは、これは一本とられたな」

そう少女は朗らかに答えた。

これ以上は関わりたくないと思ったリョーマは、無言で足早に立ち去ろうとした。

「こらこら、声をかけてきた先輩に対して、その態度はないだろう」

そう問われたリョーマは足を止めてから顔だけを振り返らせて答えた。

「手塚部長の許可を取れたら、いくらでも応じますけど?」

「それなら大丈夫だ。手塚と秀一郎の許可は取ってある」

手塚の許可を取ってあるという少女の言葉に驚きつつも、それを悟らせまいと違う疑問を問い掛けた。

「秀一郎?」

「ああ、大石だよ。青学の母の名前だ」

「ふーん、随分と親しげですけど、幼馴染みとかっすか?」

少女にリードを取らせまいと簡単に、かつ鋭い問い返しをした。

「プリンスは勘も鋭いな。君にいつも勝っていると言うお父上には是非お会いしたいな」

「……竜崎先生とも親しいんっすか?」

そう問われた少女は、不二の様な意図が読めない笑みを浮かべながら答えた。

「手塚に頼まれてな。君の柱への思いを確認して欲しいと」

そう答えられたリョーマは不敵な笑みで再び挑発的に問い掛けた。

「……それって、俺に勝つって言う宣戦布告ですか、謎の美少女先輩?」

「試合をするわけじゃないぞ。ただの打ち合いだ。これでも手塚には負けたことはないぞ」

「……勝った事はないんすか?」

「氷帝の跡部なら勝った事があるぞ。まあ、怪我を治した手塚とはやってみたいと思っているがな」

少女は自慢とも言えないのんびりした口調を変える事無く、リョーマの闘志を湧かせた。

「じゃあ、まずは俺を倒してください、謎の美少女先輩」

「だから試合じゃないといっているだろう、プリンス」

 

 

 

数日後、リョーマは桃城に謎の美少女……藤原静華と言う名の先輩と打ち合いをした事を感づかれてしまった。

「で、結局、勝てたのか?」

「あの人、正体不明なテニスするんすね」

「ああ、乾先輩でもデータは取れないって言ってたからな」

そう答えられたリョーマは溜息を吐きながら桃城に確認をした。

「あの不二先輩の遊び友達って言う噂は本当だったんっすね」

「じゃあ、お前も勝てなかったのか」

「本当に打ち合いしかさせてくれなかったんで」

「……何時間続いた?」

「時間は……」

そうリョーマが答えようとした時、二人は背後から声が掛けられた。

「数分だろう。互いの力量を知るのに、プリンスならそれくらいで十分だからな」

「なっ! 静華先輩……いつから」

と驚いている桃城に対して、静華はしてやったりとした笑みを添えて答えた。

「初めから聞いていたぞ。気配を隠すのも得意技でな」

リョーマも驚いたが、すぐに不敵な笑みで静華に問い掛けた。

「今度は試合をしてくれませんか、藤原先輩?」

「それは手塚に聞いてくれ。でなければ私が秀一郎に怒られる。あいつは怒ると怖いんだ」

と言って身震いをする静華に対して、桃城は驚きを感じさせた態度とのギャップに対して笑いながら答えた。

「そう思っているのは静華先輩だけっすよ」

「何を言うか桃。真の怖さは身内にしか見せない男なんだぞ、秀一郎は」

「何で手塚部長の許可が必要なんすか?」

と、リョーマが真面目に問い続けた為、静華も真面目に答えた。

「プリンス、君とはライバルになりたくないからだ」

「つまり、遠まわしに試合はしたくないという意味っすか?」

「練習ならいくらでも付き合うぞ。マムシ君との持久戦にも勝つ事は出来たからな。そろそろ休憩も終わりだろう。また会おう、プリンスと桃」

そう言って静華は去って行った。

静華の姿が見えなくなった頃、リョーマはポツリと桃城に問いかけた。

「……あの人、何者なんすか?」

「それは青学七不思議のひとつだ。不二先輩以上に正体が不明だからな」

そう桃城が答えた時、再び背後から声が聞こえた。

「それは酷いな、桃」

「ふ、不二先輩!」

再び驚く桃城とは対照的に、リョーマは現れた不二に対して問いかけた。

「……不二先輩は藤原先輩と試合した事あるんすか?」

「競い合った事はないよ。だけど、僕でも勝つ事は出来ないとは思ってはいるけど」

相変わらず本心を読ませない笑みを浮かべながら不二は答えた。

だが、リョーマも簡単には引き下がらなかった。

「でも、二人がタッグを組めば手塚部長も勝てないっすよね」

「フフフ、そんな事はないよ」

そう答えられた二人は同時に『嘘だ!』と思いつつも否定も肯定も出来なかった。

 

 

 

 

 

青学でも初であり、初のテニプリでもあります。

やはり、テニプリはリョーマかな、と思いまして。

ただ、新テニプリは未読で、書籍の保管に関する優先順位で……現在、コミックス全42巻は手元になかったりしますが、いまだに二次創作は時間を作っては新規開拓もしていますし、書いたりもしています。

なので、これから更新をするとしても青学と氷帝と立海になると思います。