Fortune encounter

「……何故ここに女が居る?」

そう告げた三蔵は、目の前にいる男装をした女の額に拳銃を突きつけた。

だが、殺意と拳銃を向けられた女は、表情を変えずにただ口元をニヤリと歪めた。

 

 

 

事の起こりは三蔵が情報収集の拠点とした寺院で静華を世話係として紹介された事だ。

紹介された静華が男装をした女だと三蔵はすぐに見抜いたが意図的に見逃した。

寺院側の意図的な配慮か、三蔵に害意を持つ外部の者かがわからなかったから。

だが、静華が世話係になったのは寺院ではなく天界からの指示である事を知った。

そして、その様な経緯故に、寺院でも静華の事を知る者はほぼいなかった。

その為、三蔵は人払いをした上で、静華と二人になった時、拳銃を額に突き付けた。

「……何故ここに女が居る?」

そう三蔵から告げられた女は、表情を変えずにただ口元をニヤリと歪めた。

「……何がおかしい」

「私は寺院の関係者ではありません、とお答えすればよろしいでしょうか?」

という静華の冷静沈着な答えを聞いた三蔵は現状を理解しているのかと思った。

だが、静華が三蔵からの尋問も想定している言動故に、三蔵は静華に問い続けた。

「……何処から送り込まれた刺客だ?」

「それも違いますね。ただ『わたし』には答える権利も義務もないだけですから」

そう静華が真っ直ぐな視線と共に答えた為、三蔵はこれ以上の尋問は無駄だと思った。

と同時に、三蔵は静華が綺麗だと思った。

そして、静華の言動から察せられる深い決意が三蔵は知りたいと思った。

故に、三蔵は静華との距離を物理的なところから近づけようとも思った。

「なら、北方天帝使玄奘三蔵が命じる。俺の夜伽はお前だ」

「……あら、もう『オトナ』になっていたの? 野外での朝って大変だったのかしら?」

という静華の答えは想定内だったのか、三蔵からの誘いにも軽口で問い返した。

また、三蔵はその様な静華の言動が心地よいと思う自身に戸惑っていた。

しかし、それを言葉にする気も、警戒心を解く気もない三蔵はただ静華に命じた。

「俺に軽口をするな、女」

「敬語の畏まった女がお望みなら、イイ宿を紹介しましょうか?」

「いらん。夜伽を命じたのはお前だ」

「では、これからも長く愛玩して頂けるよう、頑張りますわ」

そう答えた静華は妙齢の美女といえる容貌を最大限に生かした艶やかな笑みを見せた。

その様な静華のあからさまでも抗い難い誘惑に対し、三蔵は不機嫌さを隠さずに答えた。

「……敬語はヤメろ」

「うふふふ、そうでしょう、さんぞう」

「馴れ馴れしいぞ、静華」

「あら、これが私の専売特許でしょ?」

「うるさい、だまれ」

といった三蔵は静華の言葉を遮る様に、突き付けていた拳銃をおろしてからキスをした。

唐突なキスに対して静華はただ瞳を大きく見開き、三蔵もあえて瞳を閉じなかった。

故に、二人が視線も間近で交わしていた為、三蔵は静華が拒んでいない事も察した。

と同時に、静華がキスに抵抗がない事を慣れていると思った三蔵は更に不機嫌となった。

「……慣れているのか?」

「私も初体験よ?」

「嘘をつくな。驚きもしなかっただろう」

「だって私は出逢う前から『貴方』のモノだし」

そういう静華の答え、否、深い決意に基づいた言動に対して三蔵はただ困惑した。

また、今は三蔵に何も告げる気がない静華はニコリという文字が見える笑みを見せた。

「まあ、アナタだからこそ、私も欲したのだし? それに、私の全てはアナタへの捧げモノだから、好きにして良いという意味よ」

「……気が変わった、今から予定はすべてキャンセルだ。今からお前を抱く」

と静華に答えた三蔵は理由もなく苛立つ思いの理由がわからないまま、ただ暴走する想いに従おうとした。

だが、その様な三蔵の無茶に対して、ようやく静華が年上らしい助言を言葉にした。

「随分と気が早いのね。若いからって無謀なコトはやめておいたら?」

「無謀かどうかお前自身で確かめろ」

「……そんなコトをしても、私は驚かないし、態度を変える気もないわ」

そういう静華の言動は、深い付き合いや長い時間を共にしていないのに、三蔵をよく知っていると思える言動だった。

そして、その様な静華の言動に悪意もが言いもないと思った三蔵は、自身の苛立ちや不機嫌を隠す様に再び命じた。

「……今夜の夜伽はお前だ、静華」

「光栄です。北方天帝使玄奘三蔵様」

と三蔵に答えた静華は最敬礼で命に答えた。

故に、三蔵はその様な静華の言動に、なぜ苛立つのかと自問自答をしても不明だった。

また、三蔵は静華に触れられるという現状に満たされる自身の感覚が理解できなかった。

そして、その様な三蔵の戸惑いに気付いているだろう静華が酷く嬉しそうな事に、三蔵もみたされている想いも否定が出来なかった。

 

 

 

 

 

今回はお蔵入りしていた最遊記の二次をUPしてみました。

また、今回のタイトルの意訳は「運命的な遭遇」です。

 

そして、「サイカイ」は当サイトのオリキャラの静華と三蔵一行との出会いを書きます。

今作は三蔵には最悪の出会いであり、静華には覚悟をしていても想定外だった出会いです。

まあ、身の上も不明な女性に寺院で世話係として出会えば、三蔵もそう思うと思います。

また、「サイカイ」を夢見ていなかったと言えば嘘になる静華にとっても唐突な出会いです。

 

そして、「はじまり」といえる天界編(最遊記外伝)の二次もUPをする予定なので、そこでも静華の意図は理解が出来るかと。

なので、当サイトのオリキャラである静華にも興味を持って頂けた方には「サイカイ」シリーズのラストまでお付き合い頂ければ幸いです。