初めて名を名乗った時、君は少しだけ驚いていた。
その驚きは僕の名を知ったからではなく、この状況への驚きのようだったけれど。
でも、それを想定していた僕は、女神が与えてくれた機会で後悔しないように告白した。
自分の過去と現況、そして、君への想いを隠すことなく。
「……君が好きだ」
と、僕が想いを告げると、君はただ瞳を大きく見開いた。
そんな表情に答えを見つける事が出来なかった僕は、ただ真っ直ぐに君をみつめた。
そして、僕はただおもいを告げるだけでなく、君にも決断を強いた。
「君が決めてくれ、僕と一緒に行くか、行かないか」
「……」
「僕にとっては最後の賭けだ……でも、気遣うことはない。君の答えが何であっても、僕は運命を受け入れることができる」
そう告げ終わった時、僕は君の顔が見られなくて、ただ軽く俯いた。
告げた事に後悔も不安もなかった。
いや、僕の想いを告げる機会を得られたことを、ただ女神に感謝した。
だから、君の答えを聞いた僕は、君以上に驚いてしまった。
「……ついていきますわ」
と答えてくれた君は、驚きから顔を上げた僕に、清々しくも美しい笑顔をみせてくれた。
そんな笑みにみせられた僕も、不自然にならない程度に、ぎこちない笑顔で君に応えた。
「後悔するかもしれないよ……」
「わたくしが選んだ道ですわ……あなたと一緒に行く道ならば、きっと頑張れますわ」
そうこたえた君の想いと覚悟を聞いた僕は、再確認するように互いの片手を繋いだ。
今度こそ、互いの想いと相反する『現実』に立ち向かえるように、と。
「ならば共に行こう! ここでぐずぐずしてはいられない!」
「はい!」
そんな君のおもいが動かしたのだろうか……
いや、君が引き寄せてくれたのだろうか、僕達が共にいられる運命を。
「姫!」
「やっと追いついた……」
「2人とも……」
「アルムレディン王子でいらっしゃいますね?」
今回はアルムの独白と会話が混ざった感じでしょうか?
次回更新SSも似たような感じかと。
あ、次の視点と独白はディアーナ中心の予定です。
今回のSSも書き易かったですが……次回更新SSでも精一杯頑張ります!
恋愛の10題(11)お題配布元:疾風迅雷