4不意打ちは反則です

ヒイロから渡された手紙を読んだリリーナは綴られた内容を確かめる様に視線を向けた。

だが、リリーナの視線の意図に気付かない、否、気付けないヒイロはただ名で問い返した。

「リリーナ?」

「……ヒイロは私がお母様に誓った言葉を偽りとさせるの?」

とリリーナから問われる言葉の意味が分からないヒイロは再び問い返した。

「どういう意味だ?」

「ですから、私はお母様に『ずっとドーリアンでいます』と誓った事を、ヒイロは聞いていなかったのですか?」

「……オレは別に婿養子でもかまわないが?」

そうヒイロが無表情で問い返すと、リリーナは耳まで紅く染まった顔をみせた。

その様なリリーナの動揺と乙女の戸惑いに気付かないヒイロは、ただ不躾に問い返した。

「リリーナ?」

「ヒイロはずるいわ!」

「どういう意味だ?」

「わからないなら良いわ……でも手紙ではなく、言葉でも告げてはくれないの、ヒイロ?」

とリリーナは反撃する様にヒイロの瞳をまっすぐに見つめながら問い返した。

その様なリリーナの乙女な仕草に慣れていない、否、想い合う相手からそう告げられる事に慣れていないヒイロは、答える事も忘れて、ただ無表情で固まった様に動かなくなった。

その様なヒイロの戸惑いを察したリリーナは、互いの視線を合わせてから問い掛けた。

「ヒイロ?」

「……おまえの方がずるいぞ、リリーナ」

そうヒイロに告げられても、無自覚で色事に鈍いリリーナは首を傾げるだけだった。

また、自身の戸惑いをリリーナに告げる気は無いヒイロは無言で求婚の答えを求めた。

そして、ヒイロの無言の要求に気付いたリリーナはただ静かに了承するように頷いた。

 

 

【恋する女の子】5のお題(お題配布元starry-tales