続・失敗しました(ロイ×エドの双子の妹)

「ふざけんじゃねぇぞ、大佐!」

そう叫んだエドに対し、ロイは優雅な仕草でコーヒーを飲んでから冷静に指摘した。

「ここはオープンカフェだぞ、鋼の」

「だから俺は国家錬金術師を辞めた……じゃねぇ、よくも妹を玩びやがってくれたな!」

「だから、私は名実共にマリアの夫であり、夫婦仲にも問題はないぞ?」

というロイの言動はただエドの怒りを煽るだけでなく、マリアの母性に満ちた笑みが凍り続けていた。

否、その様なマリアの氷の笑みによる被害の体験もしているアルはロイに諫言をした。

「大佐、そろそろ姉さんの限界値も突破すると思いますよ?」

そうアルからの諫言、否、被害を最小にすべき状況を察したロイは互いの利益を説いた。

「義兄弟となる君達に断りなく結婚式をした事は謝罪するが、君達にとっても良い事があるだろう?」

「どういう意味だ?」

と問い返したエドはロイの言葉の意味が分からなかったが、アルは溜め息を吐いた。

「確かに、姉さんが僕らの旅に同行せずにリゼンブールに残る選択肢は選ばないと思います。でも、兄さんがウィンリィに求婚する事がわかってたら、姉さんはリゼンブールでウィンリィに花嫁修業をさせる為に意気揚々として待つ事を選ぶと思いますよ?」

「……長くも的確な説明を有り難う、アル」

「ほう、鋼のがようやくあの可愛らしいお嬢さんにプロポーズを……」

そうロイがウィンリィの事を思いだそうとした際、マリアは笑顔で釘を刺した。

「ウィンリィを思考でも穢す事は許しませんよ、旦那様?」

「……姉さんの過保護は筋金入りです。ウィンリィも甘受してるんですから」

「俺も同意だ。こいつの過保護の矯正は無理だぜ?」

というアルとエドの言葉、否、攻勢に対し、ロイは冷静かつ沈着に応えた。

「そうか。では、私も子供の教育に関しても積極的に関わろう」

「……もしかして、姉さんとの結婚を急いだ理由は、子供が出来た所為ですか?」

「ああ。今年の……」

そうロイが冷静にアルに答えようとした為、エルリック兄弟の怒りは再び沸点を越えた。

「ふざけんな!」

「それにも激しく同意だよ、兄さん!」

というアルもエド以上に怒った事態となった為、マリアはただ頭を抱えながら叫んだ。

「大佐さん!」

「おや、彼らに妊娠した事も伝えていなかったのか、奥さん?」

そうロイが冷静にマリアに問い返すと、マリアも出来るだけ冷静にロイへ問い返した。

「では、旦那様。これを一人で『おさめろ』と?」

「まあ、夫婦での共同作業としてはいささか過激だが……仕方ないな」

というロイの常と変わらぬ冷静な言動が、エドとアルの怒りを更に煽った。

「仕方ないな、じゃねぇぞ大佐!」

「本気で死にたいんですか、大佐?」

「……本当に君達の家族の絆は深くて強いな」

そうロイが怒りに対して冷静だった為、マリアはただ事態を憂う事しか出来なかった。

そして、怒りを、否、マリアを思うが故に激昂するエドとアルはただロイを非難した。

「妹を傷物にしただけじゃなく、人生まで奪ったのか!」

「奪ったとは酷いな。マリアの事は愛しているし、夫婦仲も問題はないと言っただろう?」

「なら、既成事実を無理に作った事が、愛しているという免罪符で済むとでも思ってるんですか?」

「確かに既成事実は無理に作ったが、私は合意なく抱いた事は無いよ」

というロイの答えは、正しくて反論が出来ない答え故に、エドとアルは沈黙した。

また、ただ事態を憂いていたマリアもロイの言葉を否定する事は出来なかった。

「……確かに避妊に関しては嘘を吐かれたけど、大佐さんの誘いに応じたのは私の意志だったから……ごめんなさい」

そうマリアが告げると、今まで激昂していたのが嘘の様に冷静な口調でエドが指摘した。

「……謝る方が間違ってるだろ」

「え?」

「……確かに大佐の策略で結婚に至った事には怒ってるけど、それを告げられない状況を僕達が選んだ事も原因だから、それは姉さんが謝る事じゃないよ」

というエドの指摘とアルの補足はマリアにとって想定外だったがロイは違った。

否、エドとアルの言動が予測通りだったロイは、マリアの憂いが杞憂だと断じた。

「だから、言った通りだろう。だから、君達の家族の絆は深くて強い、と」

「なら、それを理解した上で利用する事への良心の呵責は無いんですか!」

そうマリアがロイの問題点、否、自己中心的な解決方法に対して怒りながら指摘をした。

だが、それも想定内だったロイはただ正直な思いを言葉にした。

「そうだな……妻と娘の惚気を聞かされ続けなければ、理解が出来なかった事は間違いがないから、ヒューズにも感謝をしておくか」

「……すみません」

「君が気にする事ではないし、君が私の家族になってくれるのだろう?」

「当然です!」

というロイとマリアの会話を理解が出来ないエドとアルは無言で説明を求めた。

すると、無言の視線に込められた意味に気付いたマリアが苦くも甘い笑みをみせた。

「私達の新しい家族となったロイ・マスタングには血の繋がった家族がいなかったの」

そういうマリアの答えが想定外だったエドとアルは沈黙し、ロイは冷静に補足した。

「だが、私には育ててくれた養母が居たし、色々な意味で恵まれてもいたよ」

「……おまえが幸せなら、それで良い」

「そうだね。姉さんは幸せなんだよね?」

というエドとアルの確認に対し、マリアは満面の笑みと共に答えた。

「うん。すごく幸せ」

そう言って微笑んだマリアが綺麗だった為、エドは怒りを自身の内におさめた。

だが、アルはある意図に気付いたが故に、それを確かめる様にロイに問いかけた。

「……大佐。僕達に話したのは、報告という名の惚気話をしたかっただけですか?」

「確かに、ヒューズの惚気話は嫌悪していたが、自分で語るには良いな」

というロイの燻ぶりかけていたモノを煽る様な発言に対し、エドとアルが再びキレた。

「ふざけるな!」

「大佐は姉さんを独占所有物にする気ですか!」

そうエドとアルがキレても、ロイ言動は変わらないが故にマリアはただ溜め息を吐いた。

 

 

 

 

 

単発のIF設定の続編、第一弾となりました。

続きを書く予定はなかったのですが、嬉しい感想とリクエストが有った為、続きを書いてみました!

明日は氷炎の錬金術師のIF小説の続きとなります。