運命の恋 第7話「沖田先輩と千鶴ちゃん」

今日も薄桜学園では名物、否、日常となった光景を、男子生徒達は遠巻きに避けていた。

否、学園の生徒だけでなく、教師達も厄災を避ける為に見逃していた。

そう。

悪魔のように恐れられている沖田が、学園の紅一点であるの千鶴を独占する光景を。

だが、沖田と千鶴に近くて聡い面々は二人の変化に気付いていた。

故に、今日も沖田は背後から千鶴を抱きしめながら想いを甘く告げた。

「好きだよ、千鶴ちゃん!」

そう沖田から告白された千鶴は拒絶する様な冷静な態度ではなかった。

そして、その様な千鶴の変化に気付いた、否、想いを察した斉藤は南雲に問いかけた。

「……南雲、止めないのか?」

「それは俺のセリフだ」

「……俺も朴念仁と言われているが、千鶴の変化には気付いている」

「だから、斉藤は朴念仁なんだよ。気遣う方法が間違ってる」

「そうか……」

という斉藤と南雲の会話もしっかり聞いていた沖田は千鶴を抱きしめたまま口を挟んだ。

「へぇ、南雲もやっと僕を兄として認めたんだ?」

「だから、千鶴は俺の双子の妹だ!」

そう南雲が譲れぬ主張を繰り返し叫ぶが、斉藤は冷静に状況を把握しようとした。

「総司も気付いているのか?」

「当たり前だよ、愛しい千鶴ちゃんがようやく素直になってくれるんだから」

「その意味不明な自信の根拠は何処に有るんだ?」

「ねえ、千鶴ちゃんはもう僕から逃げないし、不信もない、よね?」

という沖田の問いに対し、千鶴は再び否定も肯定もしなかった。

だが、沖田に強く抱きしめられ、甘く囁かれるたびに、千鶴の様子が変わっていた。

否、それは変化というよりも、沖田の言動で揺れる恋する乙女そのものだった。

故に、沖田は満面の笑みを浮かべ、南雲は苛立ち、斉藤はただ二人の恋の成就を祝った。

しかし、沖田はそれだけで満足をする事が出来ず、千鶴の言葉も強請る様に問い続けた。

「無言は都合の良い方に解釈されちゃうよ?」

「沖田先輩はどんな都合に解釈したいんですか?」

「もちろん、千鶴ちゃんが望むままに、だよ」

「……総司さんはいつでも意地悪ですね」

「知っているだろう、千鶴は?」

そう想いを確かめ合う、否、ただ恋情がダダ漏れている状況に対し、まず南雲が苛立った。

「風紀委員としても、あの色ボケた悪魔は取り締まれるよな?」

「……土方先生のお手を煩わせる事の無いようにするのも務めだ」

と南雲に同意した斉藤は先程の想いを違う意味で悔やんだ。

そう。土方の手を煩わせる事態が増えた事を予測できなかった事を。

だが、その様な南雲と斉藤の横槍に対し、色ボケた甘い雰囲気のままで沖田は微笑んだ。

「酷いなぁ、千鶴ちゃんの可愛さは独占する気だから、公開プレイはしないよ?」

「一回は死にたいのかい、沖田?」

「いや、馬鹿は死んでも治らないというから、後始末に困らん方法を勧める」

そういう南雲の絶対零度な忠告と、斉藤の的確な指摘を聞いても、沖田は微笑み続けた。

「そんなに熱烈な告白をされても、僕には千鶴ちゃんがいるからダメだよ?」

 

 

 

 

 

これにてSSL設定を捏造した沖田編は終了となります。

最後までお付き合い頂き、有り難うございました!

また、サイトの更新は上京直参するラヴコレを終えてからの予定です。