運命の恋 第4話「契機」

千鶴が生徒会室へノックと無言の礼で入室すると、待っていた風間が意味深に微笑んだ。

「遅かったな我が嫁よ。だが、愛妻を待つ時間もまた楽しいモノだな」

そう風間から微笑みながら告げられた千鶴は呆れた表情を隠そうとしなかった。

また、風間のそういう無自覚さに対し、天霧は溜め息を、不知火は千鶴の呆れに同意した。

「雪村の奴、本気で呆れてるぞ」

「ああ、それがツンデレという者の性質だろう?」

という風間の言動に慣れた、否、スルーをする事を覚えた千鶴は端的に問い掛けた。

「ご用件をお伺いしても宜しいでしょうか?」

「我が嫁と会うのに理由も何もないだろう?」

「……私は風間生徒会長の嫁になった事も、それを了承した事もありませんので、ご用が無ければ失礼します」

「では、この様に抱きしめればいいのか、我が嫁よ?」

そう千鶴に問い返した風間は、すぐに互いの距離を縮めてから強く抱き締めた。

その様な風間の言動を想定しなかった千鶴は驚きからただ硬直した。

だが、風間の言動がまずいと察した天霧と不知火はその危険性を注意した。

「風間!」

「それはやべぇって、風間!」

「我が嫁を抱きしめるにも理由など不要だろう。ましてや……」

と答えた風間の手が頬に添えられたと自覚した千鶴は反射的に想い人の名を叫んだ。

「総司さん!」

そう千鶴が叫んだと同時に生徒会室のドアは壊れた。

そして、ドアを破壊した沖田に気付いた千鶴はただ驚き、風間は嫌悪を隠さなかった。

また、天霧は想定内の状況故に大きな溜め息を吐き、不知火はただ無言だった。

だが、その様な周囲の状況をあえてスルーした沖田は千鶴を風間の拘束から解放した。

「はい、君の愛しくて頼りにもなる総司さんが助けに来たよ、千鶴?」

「……生徒会長を足蹴にするとは良い度胸だな、沖田総司?」

「生徒会長という重職にあるからこそ、生徒に強権を強いる事も迫る事も駄目じゃないの?」

という沖田は不格好な姿勢でも高飛車な風間を煽ったが、遮る様に千鶴が口を挟んだ。

「沖田先輩、どうして来てくれたんですか?」

「あれ、総司さんとは呼んでくれないの?」

そう沖田に指摘された千鶴は、急変化し続ける状況に戸惑い、ただ驚きから目を見開いた。

そして、その変化を意図的に起こしている沖田はこの場の主導権を握ろうとした。

「確かに千鶴ちゃんはツンデレに近いかもね、正直じゃないところは」

「……私は偽りを言葉にしていません」

「うん。でも、僕への想いを全て言葉にしてはくれていないよね?」

という沖田の追撃的な指摘をされた千鶴は言葉を返す事も出来ずにうつむいた。

そして、告白現場を見せつけられている事を察した風間は沖田に対して警告をした。

「貴様、ここがどこだと思っている!」

「雪村に無理を強いれば、沖田が召喚されるなんて想定内だろ」

「現世でもあきらめるべきでしょう。貴方がマゾでなければ」

そうお付である不知火と天霧の進言、否、危機回避の勧めを、風間は理解が出来なかった。

「どういう意味だ?」

「つまり、雪村と沖田の告白ショーから逃れるべきだって事」

「それは遅いよ?」

と不知火の進言を遮った沖田は、甘かった雰囲気が嘘の様な冷酷な空気を纏っていた。

それで状況を察した不知火は諦め、状況を的確に把握した天霧も再び溜め息を吐いた。

「……すでに悪魔の術中か」

「では、風間。自業自得を自ら実感してください」

そう言われた、否、ようやく状況を理解した風間は、沈黙を選ぶしか出来なかった。

そして、千鶴はこの場の変化を理解できず、また、自身の状況にも気付いていなかった。

ただ、この場の主導権を握った沖田に対し、ただ状況の説明を求める様に名を口にした。

「沖田先輩?」

「大丈夫だよ、千鶴ちゃん。君が正直になり、余計な横槍を減らせる為に効果的な確認をするだけだから」

「……」

「どうして僕に想いを告げないのか、僕が気付かないと思ってる?」

と沖田に問われた千鶴は、想いを見透かされている事に対して驚愕した。

それ故に、千鶴は外野がいる事も忘れ、ただ想いを見透かした沖田を凝視した。

 

 

 

 

 

思っていた通りなコメディ(ギャグ?)になってくれていないような……

とりあえず、足掻くだけ足掻いてはいるので、少しでも楽しんで頂ければ幸いです。