風紀委員に割り当てられている教室で放課後も待機していた斉藤の元に沖田が来た。
そして、無言で入室した沖田に対し、斉藤は先制攻撃めいた問いを言葉にした。
「で、何故に総司は千鶴をからかう癖を止めないんだ?」
「酷いなぁ。一君まで僕の想いを疑う気?」
「千鶴が特別なのはわかる。過去でも今でも。だが、あのようにからかうのは千鶴には毒でしかない」
「だから、僕は本気で千鶴ちゃんが好きなだけだよ?」
そう沖田がいつもの調子で斉藤に問い返した為、斉藤は沖田への不信を更に深めた。
また、その様な斉藤の不信を察した、否、理解していた沖田は少しだけ真面目に応えた。
「確かに、薄桜学園で出逢った頃はあの頃の記憶があいまいだったし、からかう対象だけだったけど、あの頃の記憶がはっきりして、千鶴ちゃんの想いを知ってからは僕も本気になったよ」
という沖田の応え、否、正直すぎる想いを告白された斉藤はただ驚いた。
その様な斉藤の天変地異に遭った様な驚愕する表情を見た沖田はただ苦笑った。
「あのね、僕も一君と同じ様に男女交際の経験は無いけど、告白される事は多かったから、恋情くらいは理解が出来るよ。実際、あの頃の千鶴ちゃんの想いを思い出して、実感も得られたしね」
「……ならば、千鶴にあのように告白するのは間違いだとは思わんのか?」
「確かに新選組の剣であった沖田総司ならば、そうだろうね」
そう言う沖田の答えを理解が出来なかった斉藤はその言葉の意味と意図を無言で求めた。
それ故に、沖田は自身の想いを整理する様に、否、伝える予行練習をする様に応えた。
「千鶴ちゃんの為に生きる、と選んでからの僕は違うっていう意味だよ。そして、それは僕と千鶴ちゃんしか知らない事だから」
「ならば、何故に千鶴はあんたの言葉を信じない?」
「そうだねぇ……あの頃の記憶が完全じゃないから、かもね」
と斉藤に答える沖田は再びいつもの調子で答えた為、斉藤は沖田の真意を探った。
「のんきな言い草だな、総司?」
「うん。でも、千鶴ちゃんの想いは一生モノだと理解しているから、ある意味ではのんびり口説き落とせるよ」
「ならば、生徒会長には気をつけろ」
「そうだね。あの人は相変わらず周りが見えてないし、都合の悪い事はスルーか都合良い非現実を事実にしようとするし……」
そう斉藤に答えた沖田は千鶴に危機が近づいていると知った。
また、沖田の様子から何かがあると察した斉藤はただ詳細を求める様に名を口にした。
「総司?」
「早速、話題の人が馬鹿な事をしようとしているみたいだから行ってくるね」
という沖田が千鶴の危機に気付いた理由と、その対応策をあえて斉藤は聞かなかった。
否、斉藤はこの状況で沖田を止めるよりも、注意をする方がベストだと判断した。
「止めはせんが、風紀委員として問題行動は見逃せんぞ」
「大丈夫だよ、穏便な方法でも再起不能にする事は出来るし」
コメディ(ギャグ?)を目指していますが……大丈夫でしょうか?
次は生徒会長との会話がメインなので、ギャグになりやすいと思うのですが……
と、とりあえず、頑張ります!