失敗しました(土方×千鶴)

千鶴の希望進路を原田のリークで知った面々は、土方を保健室に呼び出してから問うた。

「千鶴ちゃんにフラれたんですか?」

そう沖田が率直な問いを口にすると、土方の眉間のしわが一気に増えた。

また、その様な土方の反応を察していた斉藤は沖田の率直さを非難した。

「その様な問いには配慮が必要だ」

「いや、この手の問いに配慮って言う方が変だぜ?」

「だが、千鶴の一大事なんだから、率直に聞くべきだろ?」

「そうだぜ、土方さんが女にフラれるなんて……」

と三馬鹿にまで心配、否、からかわれる事態故に、土方は一喝でそれを否定した。

「俺は千鶴にフラれてねぇ!」

「では、雪村君が大学への進学を希望する理由を、土方君は知っているんですか?」

そう山南が裏を隠さない笑みで問い返した為、余計な軋轢を避ける様に土方は答えた。

「……千鶴は教師になりたいから、教員免許を取る為に大学へ進学したいと俺に言った」

「なるほど。では、土方君は雪村君が教師になるまでオアズケになったんですね」

「へぇ、土方さんに節制をさせるなんて、さすがは千鶴ちゃんだね」

「土方さんは節制にも長けられた方だ」

と斉藤はあくまでも土方に配慮し、平助と原田もそれに同意しながら心配もした。

「でも、事実上の生殺し宣言だろ?」

「まあ、そうだが……土方さんはそれで良いのか?」

「千鶴が選んだ進路の邪魔をする気も、咎める気もねぇよ」

そう答える土方のやせ我慢、否、誰もが気付く程に弱々しい態度に永倉も気付いた。

「ずいぶんとらしくない答えじゃねぇか、土方さん?」

「そうですね……ですが、あの笑顔には土方君でも負けるかもしれませんね?」

「……いつまで凹んでいる気ですか、千鶴ちゃんが待ってますよ?」

「うるせぇ」

と沖田へ否定する事にも失敗している気弱な土方に対し、斉藤はあくまでも配慮をした。

「後は任せてください、土方さん」

「……ああ」

そう斉藤の配慮に応えた土方は、常とは違い過ぎる落ち込んだ様子で保健室を出た。

「……ホントに骨抜きにされてるよな、土方さん」

「そうだなぁ、あの土方さんが、ってのは意外だけどな」

と平助と原田は土方の意外な言動に驚いたが、山南はそれを微笑みながら否定した。

「そうでしょうか? 片鱗は過去にもありましたよ」

「そうですね、僕も土方さんが骨抜きをされている方に一票だけど、一君は?」

「……恋に勝ったも負けたもないだろう」

そういう斉藤の一言、否、短くも的確な表現は皆を沈黙させた。

否、色恋沙汰に鈍い傾向の斉藤の指摘があまりにも的確だったが故に沈黙させられた。

だが、沖田はその場の沈黙を破る様に、ポツリと皆に問うた。

「……一君の独り勝ち?」

「真理は意外なところに有ったようだな」

という原田も沖田の問いに驚きながらも同意したが、永倉は斉藤の言葉を支持した。

「真理ってぇのはそんなもんだろ」

「永倉君にまでそう言われると、何も言えませんね」

そういった山南が苦笑うと、場の空気を変える様に土方と千鶴の行く末を話題にした。

否、それこそが本題であるが故に、その場に居た者達もそれぞれの思いを語り出した。

 

 

 

そして、話題とされた土方は千鶴に呼び出された空き教室に入った。

すると、千鶴は土方に最敬礼をしながら謝罪を言葉にした。

「すみません、歳三さん」

「……ここは学園だぞ」

そう土方は千鶴に答える事しか出来なかった。

否、千鶴の謝罪も思いも察するが故に、自身の想いをどうすべきかを悩んでいた。

また、その様な微妙な男心に気付かない、否、気付けない千鶴はただ誠実であろうとした。

「謝罪すべきは生徒としてではなく、雪村千鶴としてすべきだと思ったのです」

「……」

「ですが、私は選んだ大学に進学して教師になる、それを諦めるつもりはありません」

という千鶴の決意は『誠』の名に恥じぬものであるが故に、ただ土方は溜め息を吐いた。

「……俺はお前の決意を邪魔する気も止める気もねぇよ」

「……有り難うございます」

「だが、俺も諦めねぇぞ、お前を俺の嫁にする事は」

そう土方が弱気ながらも深い覚悟と決意を言葉として千鶴に伝えた。

その想いを言葉として聞かされた千鶴は、ただ驚きながらも満面の笑みを見せた。

それをみせられた土方は、ようやく自身の想いの片付け方にも気づいた。

故に、土方も『誠』の理念を持つ学園の教頭らしい、強気な宣言を千鶴に告げた。

「だから、待っててやる。覚悟もしておけ」

「はい!」

 

 

 

 

 

オールキャラなはじまりにした所為か、ひじちづ要素も甘さも少ないですが、当サイトらしい土方×千鶴になったかと(遠い目)

そして、今日でサイト開設記念小説の連続更新を終了となります。

途中で休止もした連続更新に最後までお付き合い頂き、有り難うございました!

 

また、3月1日から薄桜鬼の随想録(PS2版)でのSSL設定を捏造した沖田編「運命の恋」の短期連載を開始します。

沖田編ではSSLの笑撃度に真っ向勝負を試みたコメディを目指しています!

なので、笑って楽しんでも頂けるように頑張りたいとも思っています!!