失敗しました(仲花)

仲謀との婚儀が間近となった花は、マリッジブルーといえる不安を一人で抱えていた。

そして、人通りが少ない廊下で不安に押し潰されそうになった花は仲謀の名を口にした。

「仲謀……」

「……誘ってやがるのか、花?」

そう花に問いかけたのは、数週間後には夫となる仲謀だった。

故に、ただ花は混乱したが、様子がおかしいと思って後を追っていた仲謀はただ心配した。

「何を考えてる?」

「えっと……夫婦になってもデートが出来るかなって思ったり……」

「……」

「あ、デートって二人で一緒に出掛ける事で……」

という花は意図的に指摘を誤魔化そうとしたが、仲謀の鋭くもまっすぐな視線に負けた。

そして、花が誤魔化さないと察した仲謀は、ただ互いの距離を無くすように抱きしめた。

そんな仲謀の無言の温かさが嬉しかった花は、ただ謝罪を込めた感謝を言葉にした。

「ごめん、仲謀」

「……不安なのか?」

「うん。だって、私なんかが仲謀の正妻になんて……」

そう花に告げられた仲謀の沸点はすぐに臨界値を超え、仲謀はただ花に怒りをぶつけた。

「じゃあ、俺におまえ以外の女を娶って大切にしろって言うのか!」

「ち、違うよ! ただ、私が……」

と答える花が不安になっていると再確認した仲謀は抱きしめている腕に更に力を込めた。

痛みを感じるくらい強く抱きしめられた花は、それを訴えるように仲謀を見上げた。

すると、仲謀は先程の憤りが嘘の様な優しくも力強い笑みで花に問いかけた。

「俺がいる。おまえには俺がいるだろう?」

「うん、そうだね。ありがとう、仲謀」

そう花が上目遣いで満面の笑みを見せた為、仲謀は自身の欲が煽られる事に気付いた。

故に、仲謀は煽られた欲を抑える為に、花のおでこに無言でくちづけた。

だが、仲謀の葛藤に気付かない花は、ただ恥じらいから非難する様に名をさけんだ。

「仲謀!」

「感謝するなら礼を貰っても良いだろ!」

と仲謀が自身の葛藤を誤魔化すように叫ぶと、その言葉を真に受けた花が俯いた。

その様な花の様子から機嫌を損ねたと思った仲謀は、花の表情を窺おうと屈んだ。

すると、花は仲謀の顔を引き寄せてから頬に軽く唇で触れた。

「!」

「ただの感謝だから!」

そう叫んだ花は、唐突なくちづけと同じ様にすぐに仲謀の前から去った。

そして、残された、否、更なる葛藤に陥った仲謀はただしゃがみこんだ。

「……反則だろ、今のは」

 

 

 

 

 

今回の仲花はいつもよりも甘く書けたかと。

喧嘩や擦れ違いも良いのですが、こういう展開もアリかと。

明日は公瑾×花の予定です。