丞相府が銅雀台へと移り、文若と花が結婚を決意した頃。
孟徳に煽られた、否、恋する乙女である花は、休憩中の文若に想いを告白させようとした。
だが、堅物であり、乙女心を理解できない文若は、ただ大きな溜め息を吐いた。
「……花」
「はい!」
「……丞相を喜ばせてどうするつもりだ?」
そう文若に問われた花は、抱いていた乙女心と期待が急下降する様に蒼い表情となった。
そして、その様な花の変化に気付かない文若は、ただ確認という名の詰問を言葉にした。
「それとも、今更になっても互いの恋愛感情を確かめ合いたいとでも言うつもりか?」
「……ダメ、ですか?」
「駄目というより、理解が出来ない」
「……」
「婚儀が間近の今、その様な事をすれば、お前は清い身での新婦にはなれんぞ」
と文若が告げると、今まで倒れそうな程に蒼い表情で俯いていた花はただ驚いた。
否、花の表情が蒼かった事が嘘の様な程に真っ赤となった事に文若はようやく気付いた。
それ故に、文若は花に孟徳の狙いとからかわれる事態を回避する事への同意を求めた。
「それとも、婚前交渉が目的で、それを丞相にからかわれても良いと言うのか?」
そう問われた花は、文若の問いの違う意味に気付き、先程とは違う意味で不安となった。
「……私、文若さんに我慢を強いているのですか?」
「それは否定できんが……ただお前を想っている、ただそれだけだ」
と文若から想定とは違うが、想いを聞く事が出来た花は満面の笑みで感謝をした。
「ありがとうございます、文若さん!」
「……そろそろ休憩も終わりだ。仕事を再開するぞ」
そう文若が否定も肯定もしなかった為、花は休憩用の茶器を片付けながら言葉に従った。
「はい!」
文若さんに甘い言葉を言わせよう!と思ったのですが……玉砕色濃厚です(遠い目)
また、それが文若さんだと思うのですが、甘いセリフは次の機会に頑張りたいと思います!
明日は仲謀×花の予定です。