ラヴコレ2017秋の新刊サンプル(三国恋戦記魁)

2017年11月5日ラヴコレクション2017 in Autumn(東京流通センター)

参加サークル名:焔の翼(スペース番号:か03)

 

恋をしよう(三国恋戦記魁・攻略キャラ×公式主人公)

A5/オンデ/特殊紙FC/56P/600円

 

攻略対象キャラ×公式主人公の5編と葉明真夜様の寄稿小説の計6本の短編集です。
また本編のネタバレと捏造が多い為、ネタバレや捏造等が苦手な方はご注意ください。

各短編のタイトル
「恋をしたから……」仲穎×巴
「あなたが好き」奉先×巴
「HappyEndをもう一度」本初×巴
「あなたと共に」伯符×巴
「好きと嫉妬にまつわるエトセトラ」華陀×巴
「たとえ散る朝にも」本初×巴+孟徳(葉明真夜様の寄稿小説)

 

 

本文サンプル

 

「恋をしたから……」仲穎×巴

水鏡で仲穎様の真実と呪いを教えられた時、仲穎様は正直な想いも告げてくれた。

そして、仲穎様の想いを知った時、私の想いも覚悟も定まった。

ただ、仲穎様に求められ、私も求めている。

その上、仲穎様は私だけが救いだとも告げてくれた。

ならば、私が選ぶ事は、ただ一つ。

仲穎様と最期まで共にいる事。

だから、私は仲穎様に求められるままに最期まで見つめ続ける。

それが私の願いで、仲穎様の側に居る理由だから……

 

仲穎は水鏡で巴に真実を見せてから、自身の想いを正直に吐露した。それ故に、巴は仲穎と共にいる事を望み、自分からくちづけた。

そして、その様な巴の想いへ答える様に、ただ仲穎も深く貪る様な深いくちづけを返し、巴もその様な仲穎の想いへ応える様に受け入れた。

また、部屋に戻って池に入って濡れた服を脱いで夜着を着た仲穎は寝台に巴を呼び寄せた。

すると、巴は今まで見せていた戸惑いや躊躇いもなく、ただ当たり前のように仲穎の寝台に横たわった。

その様な巴の変化になれなかった、否、信じられないと思った仲穎は、ただその様な変化の理由を問うた。

「先程、そなたから初めて私に触れたな。何故、私に触れようと思ったのだ、貂蝉?」

「……」

「答えよ、貂蝉」

そう仲穎から問い続けられた巴は、何も答えない、否、正直な思いを告げるしかない状況だと諦めた。

それ故に、巴は恥じらう様に仲穎の視線から逃れる様に俯いてから小声で答えた。

「……私が仲穎様に触れたかったからです」

「真実を知っても、か?」

という仲穎の問い返し、否、確認に対し、巴は偽りなき想いを言葉として、俯いていた顔を上げてまっすぐな視線と共に叫んだ。

「仲穎様は私が知る仲穎様だけです!」

「……そうか」

そう巴の心からの叫びであり、決意表明でもある言葉に対し、ただ仲穎は静かに微笑んだ。

その様な仲穎の態度をみせられた巴は、自分からくちづけた事への恥じらいを感じた。

否、先程までの熱くも深い仲穎への想いを冷静に考えられるようになった巴は、自分からくちづけた事や、想いや独占欲を告げた事を、仲穎はどのように思ったかが巴は心配になった。

 

 

「あなたが好き」奉先×巴

南蛮に行く旅の途中で、奉先と巴は旅で使う必需品の補充の為にも大きな街へと立ち寄った。

また、大きな街では路銀を得られる仕事も多い為、しばらく滞在する事にした。

だが、巴が買い物に行く時、常に奉先は不機嫌になっていた。

そして、今日も奉先の機嫌が悪かったが、巴は買い物をした。

「ありがとう、お嬢さん。これはおまけだよ」

そう笑顔で告げた店主に対して巴も笑顔で答えた。

「有り難うございます。おまけも良い品ですね」

「お嬢さんの様な可愛い人から、褒められると嬉しいねぇ」

と店主から可愛いと褒められた巴は、慣れていない為にただ無言で照れた。

また、その様な巴の初々しさを微笑ましく思った店主は、隣に居る奉先にも話を振った。

「お嬢さんは性格も可愛いんだね。こんなに可愛いお嬢さんをお連れとは旦那も……」

そう店主は言いながら、巴の隣に居る奉先を見たが、奉先の凶悪すぎる殺気も秘めた瞳を見て店主は怯えた。

故に、巴は内心で溜め息を吐いてから自制を求める様に奉先の名を叫んだが、巴に自制を求められても奉先の険しい表情は変わらない為、巴は奉先の代わりに店主へ謝罪をした。

「……すみません」

「いや……お嬢さんはお連れ様に深く愛されているんだね」

「本当にすみませんでした……そろそろ、宿に戻ろう、奉先」

そう答えた巴は、謝罪を受け入れてくれた店主に一礼をしてから、奉先と共に宿に戻ろうとした。

だが、奉先は店主を睨み続けようとした為、巴が強引に宿へ戻ろうとした。

「行こう、奉先!」

と叫んだ巴が強引に奉先を引きずっていると、奉先に妖艶な美女が声をかけた。

「おやおや、喧嘩かい、旦那?」

そう美女に声をかけられても、奉先の険しい表情は変わらなかった。

そして、奉先が女性から声をかけられる事が多くも、奉先が無視をする為に、巴が断る事も日常だった。

「すみません。急いでいるので……」

と巴が控えめに断ろうしたが、自分の容姿にも自信がある美女は、あくまでも奉先に声をかける事を止めなかった。

「私は旦那と話してるんだよ、お嬢ちゃん。ねえ、こんな小娘よりも私の方が満足させるから喧嘩にもならないよ?」

「……行こう、奉先」

そう巴が言っても、奉先は不機嫌なまま動こうとはしなかった。

その様な巴と奉先の言動を見た美女は、奉先から巴へと問いかけた。

「お嬢ちゃん、旦那は嫌がっているみたいだよ?」

「夫は機嫌が悪いだけで、喧嘩なんてしてません」

「おや、旦那は尻に敷かれるのがお望みなのかい? それも私の方がきっと上手いよ」

と美女が言っても奉先は無言で、ただ巴が断り続けた。

「すみません、本当に急いでいるんです。行こう、奉先!」

そう巴が強い口調で宣言すると、奉先もようやく宿へと戻ろうとした。

その様にようやく従ってくれた奉先の態度に巴は安心したが、奉先から無視をされて、巴にも邪魔されたと思う美女は、妬心に満ちた視線で二人を見た。

だが、その視線に含まれる害意を感じた奉先が、その美女に殺気を込めた視線で睨み返した。

すると奉先の殺気を秘めた視線の鋭さに恐怖を感じた美女はすぐに逃げた。

そして、このやりとりを見ていた人々も奉先の言動に恐れを感じた為、すぐのこの場から立ち去っていった。

また、この様なやりとりも日常となった事に、巴は大きな溜め息を吐きながら奉先と共に宿へと戻った。

 

 

「HappyEndをもう一度」本初×巴

ただ時代と戦いから取り残され、死人のようにただ病と闘う本初を巴は必死に支えた。

だが、それにも限界があると悟り、本初を死なせたくないと思った巴は、ある決意を固めた。

故に、巴は起き上がれる時間が多くなってきた本初に対してある提案をした。

「本初様、私の国へ一緒に行きませんか?」

「……お前の国に帰る方法がわかったのか?」

そう本初に問い返された巴は答えではなく、ただ己の決意と願いを告げた。

「私が生まれ育った国なら、本初様の病を治せるかもしれません。ですから、本初様を連れて行きたいのです」

「ならば準備を進めよう」

と巴に答えた本初の答えは、巴にとっては想定外な言葉だったが、本初にとっては違った。

しかし、巴の処遇を考えられなかった、否、考えたくなかった本初は、ただ状況を説明した。

「この屋敷に務めている者達の今後に関しては、何が有っても良いように準備はしていた」

「……一緒に行ってくれますか?」

「ああ。お前の国へ共に行けるならば、私達はこれからも共に居られるな」

そう巴へと問い掛けてくる本初は、明るい未来を夢見るように、病となる前にはよく見た明るい表情となった。

そして、その様な本初の明るい表情が嬉しかった巴も、ただ明るい未来を夢見た。

「……そうですね。この国で出逢ったように、きっと、一緒になれますよ、きっと」

「そうだな……ありがとう、巴」

と巴に告げた本初は最終準備を命じると、巴は本初と共に現代に戻った。

だが、現代に戻った巴は本の世界での記憶をなくした。

また、独りで現代に至った本初は、ある孤島の医師に助けられた。

そして、それから半年の月日が流れた。

 

 

浩太が巴に告白しても、友人関係が変わらなかった日から半年後。

巴は奈々から近くの動物病院に、住込みをしているイケメンの助手がいると聞かされた。

しかも、そのイケメンが「巴」という名の女子高生も探しているとも聞かされた。

そして、噂になっているイケメンを見る口実として、奈々は巴と共に動物病院に訪れた。

すると、噂のイケメンは巴を見るなり、満面の笑みと共に抱き締めた。

「やはり、お前と私は共に居る運命なのだな」

そう噂のイケメンに告げられた巴は嫌悪も違和感も無い事にただ驚いた。

そう。

巴は男性との交際どころか、恋愛的な行為も経験がないと思っていたのだが、巴は抱きしめられる事がただ嬉しく、感極まったかのように涙を流した。

「再会したのに、またお前は泣くのか? だが、再び出逢えた奇跡に対する喜びも見せて欲しいから、巴、笑ってくれ」

と言われた巴は自分の感情も記憶も信じられなかった。

それでも、抱きしめる男性への深い愛情と、愛されている喜びだけが、巴の現実だった。

 

 

「あなたと共に」伯符×巴

伯符との婚儀の日取りも決まっても、巴は自分の立場が中途半端だと思っていた。

その様な巴の思いを察した、否、誰もが揺れていると感じているが故に、ただ伯符を案じる公瑾は唐突に問い掛けた。

「あなたは責任がとれるのですか?」

そう公瑾に問われた、否、詰問された巴はその問いの意味が分からなかった。

正確に言えば、自分が何かの責任を負えるほどの立場であるとは巴には思えなかった。

それ故に、巴はただ硬直して言葉で答える事も出来なかった。

そして、それを予測していた、否、想定通りといえる巴の応えに対して公瑾はただ呆れた。

「わからないのならば言い換えましょう。あなたは伯符の役に立てるのですか?」

という公瑾の問い直し、否、心臓に剣を突き付けるような鋭くも的確な問いに対し、巴はただ息を止める事しか出来なかった。

その様な巴の無言の応えは、公瑾の予想通りであったが故に、ただ結論を突き付けた。

「その程度の想いならば必要ありません」

「!」

「伯符の役に立たないどころか、足手まといだという自覚があるならば、今すぐ伯符の許から去りなさい」

そう公瑾から告げられた巴は、今にも倒れそうなくらいに青ざめた表情となった。

そして、その様な巴に気遣う事なく、否、その様な巴をあえて放置する様に公瑾はただ立ち去った。

それ故に、巴は自身の立場と想いの狭間で揺れ、改めて周囲の者達の思いを考えた。

だが、伯符との婚儀が決まってからは歓迎の言葉しか聞いていなかった、否、そう思っている人物だけと接して来たのかと思った巴は、不安定だった自身の立場の中途半端さが怖かった。

だが、独りで考えても答えは無いと思った巴は、私室へ戻らずに伯符の部下達が集いやすい場所へと移動した。

すると、意気消沈している巴に対し、伯符に仕える武将達が声をかけた。

「おや、奥方様。気分が優れないようですが、どうかなされたのですか?」

と武将から問われた巴は、質問の内容に答えず、ただ言い間違いの指摘をした。

「えっと……私はまだ伯符さんと結婚はしていないですよ?」

「ですが、婚儀の日取りも決まったのですから、そう呼んだ方が宜しいかと」

「そうですな。若様の心労を増やさぬ為にも、我々はそう呼ぶべきですな」

そういう武将達の会話の意味が分からない、否、伯符の想いも自身の想いも、全て見失いかけていた巴にはわからなかった。

だが、その様な巴の戸惑いに武将達は気付かず、ただ明るい展望を語り出した。

 

 

「好きと嫉妬にまつわるエトセトラ」華陀×巴

華陀と共に、巴は生まれ育った現代に戻った。

そして、華陀の方が記憶も早く戻り、巴も再会した時に記憶が戻った。

その様な経緯から、巴の時代で医学生となった華陀と付き合う事になったが、巴と華陀の経緯の説明が難しいが故に周囲の反対も多かった。

だが、今日も華陀の家でおうちデートをしていた。その際、巴は華陀の髪が短い事が気になった。

「華陀さんは髪を伸ばさないんですか?」

「そうだね。髪が長いと手入れが大変だし」

「そうですか……」

そういう巴の意図が気なった華陀は、強すぎる想いが悪い意味で傾いている事を自覚したが、巴は華陀の変化に気付かなかった。

そして、巴は自分が言った言葉の意味に気付かず、気付いた華陀はあえて予防を含めて確認をした。

「……じゃあ、巴ちゃんは僕の髪が長い方が好きなの?」

「髪の長さにこだわりはないですけど、髪が長かった時の印象の方が今も強いですね」

と答えた巴は、処刑されて首を晒された華陀の長い髪が揺れる光景を思い出して俯いた。

それ故に、巴は華陀の機嫌も急下降している事に気付かなかった。

また、それ故に、華陀は巴への想いが負に傾く事を止めようと、出来るだけ明るい口調でただ足掻いた。

「……そうなんだ。じゃあ、髪が短い僕はどう思う?」

「髪が長くても、短くても、華陀さんは華陀さんですよ?」

そう華陀に答えた巴は、俯いていた顔をあげてから正直に答えた。

その時、巴も華陀の変化に気付いたが、その理由を察する事は出来なかった。

そして、その様な巴の反応を悲観しても、華陀は出来るだけ感情を制御しようとした。

「……そうだね。それに、この世界での僕の名前は発音が難しいから、君は今でも僕を華陀って呼んでるんだよね」

「それは華陀さんもそう呼んで良いと言いましたよね?」

「うん。ただ髪は短い方が楽だから、伸ばす気は無いよ?」

と巴に答える華陀の変化にただ巴は戸惑った。

また、華陀は感情の制御を諦めたが、巴は戸惑いながらも会話で原因を探ろうとしたが故に会話を続けた。

「確かに髪が長いと、手入れが大変だとはよく聞きますね」

「……手入れが大変だと知ってるのに、僕に髪を伸ばせと言うなんて、巴ちゃんって実はサドだったの?」

「……華陀さん、何を怒ってるんですか?」

と巴から問われた華陀は、巴の鈍感さに苛立ちながらも、出来るだけ冷静に答えた。

だが、華陀が滅多に怒らない事を知る巴には、それが異常だと思った。

そして、華陀も八つ当たりにならないように努めるだけで精一杯だった。

「それは君が髪の長い華陀が好きだって言ったからだよ?」

「……華佗さん、私の何を疑っているんですか?」

そう巴に問われた華陀は、今は何を言っても八つ当たりにしからないと思ったが故に、あえて口を閉ざした。

だが、華陀の想いが負へ傾いている事に気付かない巴は、ただ自身の怒りや戸惑いといった感情を爆発させた。

「もう良いです! 帰ります!」

といった巴は、玄関へ向ってから外靴を履くと、一礼をして華陀の家を出て自宅へと帰った。

そして、巴を無言で見送った華陀は大きな溜め息を吐いてから、自分の気持ちを整理しようとした。

だが、しばらくは巴と話す事も出来ないと思った華佗は、再び大きな溜め息を吐いた。