スパコミの新刊2(遥か3)

 

「守りたい!」A5/コピー/40P/300円(成人向け)

 

くのいちとなる事を決意した望美嬢がメインのゲーム本編の捏造をしたパラレルな小説。
攻略対象キャラの他にもモブとの性的な絡みも有るので、恋愛感情だけではない行為でも大丈夫な方に楽しんで頂ければ、と。

また、下記が新刊の冒頭(サンプル)です。

 

『はじまり』は清盛の一言だった。

「あの戦ばかりの若造には、色恋を仕掛ける方が効果的だと思わぬか?」
そう清盛から問われた将臣は、幼馴染みであり恋慕から弟と共有した望美に命じる事を避けようとした。
「望美に色恋の駆け引きで籠絡するのは無理だと思います」
「そうかのう? ただ平家を守りたいと想う一途さと、あの知盛を籠絡した色への溺れ様ならば適任だろう。それとも、自ら育てた身体への執着がまだあるのか?」
という清盛の的確な指摘を受けた将臣は返す言葉を失って無言となった。
そして、その様な反応を想定していた清盛は幼い容姿からは想像も出来ない暗くも老獪な笑みをみせた。
「望美とそなたに関係があった事は察しておる。だからこそ、望美とそなたを兄と慕う譲を平家で受け入れた。それとも、わしが理由も無く人を受け入れると思っておったか?」
そう清盛から言われた将臣は、清盛から本来の名で呼ばれていた過去を懐かしむと同時に、将臣としての個を捨てたような感情を殺した表情で還内府としての同意をした。
「望美なら弁慶の情も動くかもしれません」
「ならば、望美に命じられるな?」
「……平家を守る手数は多い方が良いですから」
と将臣が同意すると、清盛は幼い容姿に似合う天真爛漫な笑みをみせた。
「なに。望美も色に溺れやすい性質だから、命じられずとも溺れるだろう」
「では、望美をこの部屋に呼びます」
「ああ、頼んだぞ、重盛」
そう清盛に言われた将臣はまず望美を探していると、共犯者であり協力者でもある弟の譲と敦盛に出会った為、これからを想定した相談、否、決定事項を告げた。
すると、譲は想定通りに激怒し、敦盛は望美の答えで決めるべきだとこたえた。
その様な密談をした後で、将臣は知盛との稽古を終えた望美を見つけて清盛の部屋へ来る事を頼んだ。

 

将臣よりも後から平家の客人となった望美は、白龍の神子だと見抜いた清盛からは何度も世間話をしたり、密命を命じられていた。
そして、今日も重大な事があると思った望美は清盛の部屋に入ってから話し出されるまで無言だった。
また、望美のその様な察しの良さも気に入っている清盛は幼い容姿に似合う天真爛漫な笑みをみせたが、対照的な苦い表情の将臣が話を切り出した。
「……望美、くのいちにならないか?」
「くのいち?」
そう望美は将臣の言葉の意図を確かめる様に問い返し、同席していた清盛は将臣の言葉の意味を確認した。
「重盛よ、『くのいち』とはどういう意味の言葉だ?」
「望美の居た世界では女の間者をくのいちというんですよ」
と将臣が還内府として清盛に答えるのを聞いた望美は二人の意図を推察してから問い返した。
「……どんな情報が必要なのですか?」
「ほう、相変わらず察しも良いな」
「源氏を守る神の存在を知りたい」
そう将臣が率直に答えると、清盛は補足というよりも楽しげに自身の想定を言葉にした。
「望美ならば、頼朝と直に接触すれば、力と正体を知れるだろう」
「……その情報が有れば、平家は勝てますか?」
「平家は現状でも勝てるが、大勝をする為には良いかもしれん」
という清盛は怨霊と黒龍の逆鱗の力を過信していたが、将臣は望美の問いに答えなかった。
だが、将臣は還内府として望美への提案を是とする説明をした。
「望美が頼朝に接触する為には、色仕掛けで誘惑する術を得る必要がある」
「……だから、『諜報員』じゃなくて『くのいち』にならないかと言ったの?」
「色責めにも耐えられるようになってもらう必要もある」
そう将臣から提案された望美は提案を受け入れた場合、多くの男と関係を持つ事になると察して躊躇った。
しかし、望美が剣術の稽古の代償と称した知盛に抱かれているのを知り、過去にも将臣と譲から関係を迫られても受け入れた為に、将臣は還内府として望美に任務を命じるように説明を続けた。
「知盛とその部下達から剣の腕は実戦でも役立つだろうと聞いている。だが、頼朝に接触するなら身体で男を誘惑する事と色責めにも耐えられる事も必要だ」
「……」
「……ならば、望美に試験を与え、合格したら源氏に接触させよう。それに、ヒノエも誘惑が出来れば良いな」
と清盛が楽しそうに告げた策、否、命を聞いた望美の表情は硬くなり、将臣は還内府としての面で表情と感情を消した。
「……確かめるならば知盛だけでなく敦盛や譲も同時に誘惑しながらも色に溺れぬかを確かめる必要があるでしょう」
「!」
「臆したか、望美?」
「……おまえが平家を守りたい気持ちはその程度か?」
そう清盛と還内府から覚悟を問われた、否、望美が剣の稽古をしている理由を見透かした問いだった故に、即答も否定も出来ずに葛藤する事しか出来なかった。
その様な望美の思いを見透かしている清盛と将臣はただ覚悟の有無を問うた。
「おまえは平家に居るだけで、平家を守る事となる。故におまえがくのいちとなる必然性も無い」
「だが、おまえが平家を守りたいと思うなら、その決意に偽りも躊躇いもないなら、くのいちとして源氏の守り神の正体と力を探ってきてくれ」
という清盛と将臣の説明、否、ただ守られる事を良しとせず、自身の力でも守りたいと思った望美はまっすぐな視線で命を受け入れた。
「平家を守る為なら、やります」
「おお、そうか。受け入れてくれるか。ならば試験はこちらで用意しよう。それまでに必要な事を会得せよ」
「はい」
そう望美が答えると、清盛は楽しげな様子で試験の準備の指示を考えながら退室した。
また、望美が提案を受け入れて清盛が退室すると、将臣は素の表情を見せた。
「すまないとは言わない」
「私も平家を守りたいから、その為に必要な事があるなら、出来る事があるなら、躊躇う気はないよ」
と将臣に答える望美は、先程までの葛藤があったとは思えぬような深い決意を言葉にした。
故に、望美から決意を告げられた、否、その決意を利用していると理解している将臣は論点を変えた。
「……譲は試験に協力するかな」
「それは私も説得する。だって、私がくのいちになる必要があるんでしょう?」
「……ああ。だからお前には剣の修行だけをしてもらった」
「私が敵に囚われた時に平家の機密が洩れぬように?」
そう望美から指摘された自身の変化を認める様に将臣は苦笑いながらも、かつての幼馴染みであった頃を思い出させる素の表情もみせた。
「……本当に俺も変わっちまったな」
「将臣くんが平家を守りたいと思う気持ちは、私も少しはわかるよ……だって、私も平家は守りたいって思うから」
「……」
「また、私は失いたくない……全てを守る事は出来なくても、私の力が及ぶ限りだけでも守りたいから」
という望美の深くもかなしい後悔から生まれた覚悟を聞いた将臣も同意した。
「ああ。それは俺も同じだ」(続く)